「電話加入権」とは「加入電話契約者が加入電話契約に基いて加入電話の提供を受ける権利」と定義されており、加入電話の新規加入時に「施設設置負担金」と呼ばれる料金を支払うことにより得られる権利です。
施設設置負担金という名称は、平成元年に改称され現在に至りますが、それまでにも「設備費」、「工事負担金」などの名称で存在し、その時代に応じた金額が設定されていました。
元々は、NTTが電信柱や電話線などの電話インフラの整備を行う費用の一部を加入者が負担する制度として始まったものですが、現在では、そうしたインフラ整備も整い、廃止が検討されています。
NTTでは、電話加入権の財産的価値を保証しないとしているようですが、実体としては、電話加入権は市場で売買され、質権の設定も認められ、法人税法上、非減価償却資産とされる等、一昔前までは、個人としても電話加入権はある種の財産として重宝されていた感がありました。
しかしながら、1985年に75,600円に定められた施設設置負担金も、その後の携帯電話の普及による加入者の減少や施設設置負担金が不要なKDDIなどのNTT以外の通信事業者の直収サービスの参入により、平成17年にNTTの施設設置負担金は、半額の37,800円に値下げされました。
また、NTTでも、インターネットの普及に伴い、ADSLを使いたいが、電話回線を持っていないという新規加入者のために、施設設置負担金がかからない「加入電話・ライトプラン」というサービスを提供するようになり、いよいよ施設設置負担金を伴う電話加入権という概念が薄まりつつあり、電話加入権売買の市場でも値段は下がり続け、以前のような財産的価値は無いに等しい状況になっています。